線維筋痛症や慢性疲労症候群など、検査数値に出にくい病気での認定基準

線維筋痛症や慢性疲労症候群など、一般的な検査数値に現れにくい疾患であっても障害年金の対象とはなりますが、他覚的所見を重視する審査の壁は非常に厚いのが現状です。客観的な証明が困難な病気における認定基準の実態について解説します。

線維筋痛症(FM)、慢性疲労症候群(ME/CFS)、化学物質過敏症などは、体中に耐え難い激痛や日常生活が送れないほどの重い疲労感があるにもかかわらず、血液検査やレントゲン、MRIなどの一般的な検査において異常なしと判定されてしまう傾向があります。

障害年金の原則的な考え方には「他覚的所見(医師が客観的に確認できる証拠)を重視する」というものがあるため、これらの検査データに出ない病気での申請は、通常の内部障害や精神障害と比べても極めて難易度が高いとされています。

1. 厚生労働省が定める「専門の認定要領」

血液検査などの数値で測れないこれらの疾患に対して、現在では厚生労働省から個別の認定要領が発表されています。

例えば線維筋痛症の場合、アメリカリウマチ学会が定める分類基準に基づく「全身の圧痛点(18箇所中11箇所以上の痛み)」の臨床所見や、重症度ステージ(ステージⅠ〜Ⅴ)の記載が求められます。また、慢性疲労症候群では、所定のパフォーマンス・ステータス(PS値:0〜9の疲労度合)の記述が必要となります。一般的な様式をそのまま埋めるのではなく、これらの特有の指標に対応した診断書を、疾患への深い理解を持つ専門医によって作成してもらうことが前提となります。

2. 客観的データがない中で問われる「日常生活動作の制限」

数値化できる検査データが存在しない以上、審査において最も厳しく見られるのは、日々の痛みや極度の疲労によって「具体的に何ができなくなっているか」という日常生活動作(ADL)の制限度合いです。

一人で食事が作れない、外出できず日中のほとんどを横になって過ごしている、身の回りの入浴や着替えさえままならないといった支障が、診断書上でどれだけ詳細に表現されているかが問われます。しかし、診察室での限られた時間の中で、目に見えない激痛や慢性的な疲労の全貌を医師が完全に把握することは容易ではありません。客観的な数値が出ない病気だからこそ、日々の生活における具体的な困窮度がカルテや診断書に正しく反映されるかどうかが、審査の大きな関門となります。

3. 周囲の不理解と「発症からの経緯」を証明する重み

本人が記載する「病歴・就労状況等申立書」は、診断書だけでは伝えきれない、検査数値に出ないがゆえの苦しみを補完するための極めて重要な書類となります。

これらの疾患は、外見からは病状が分かりにくいため、周囲から「サボっている」「怠けている」といった誤解を受けやすく、孤立しながら退職や休職に追い込まれていった経緯を持つ方が少なくありません。申立書においては、単に主観的な痛みの辛さを訴えるのではなく、発症から現在までの闘病のプロセスや、体調悪化に伴ってどのように就労や家事が不可能になっていったのかを、時系列に沿って客観的な事実として記述していくことが求められます。

目に見える証拠が乏しい病気だからこそ、医師の書く専門的な診断書と、本人が綴る生活実態の記録が矛盾なく一致し、一つの確かな事実として結びついているかどうかが、制度上の判断を左右する重い壁となっています。