糖尿病そのものだけでなく、合併症によって日常生活や就労に制限が出ている場合、それぞれの症状に応じた認定基準が適用されます。申請時の注意点をまとめました。
糖尿病は初期段階では自覚症状が少ない病気ですが、進行すると重篤な「合併症」を引き起こすことが知られています。障害年金制度においても、糖尿病単体で受給することは難しくても、合併症による身体の不調や機能障害が原因となって、受給が認められるケースが多くあります。
1. 対象となる主な「三大合併症」と認定基準
糖尿病の三大合併症が発生している場合、それぞれの障害に応じた診断書を用いて申請を行います。
- 糖尿病性腎症: 腎不全へと進行し、人工透析が必要になった場合は原則として「2級」に該当します(腎臓の障害用の診断書を使用)。
- 糖尿病性網膜症: 視力が著しく低下したり、視野に欠損が生じたりした場合に、眼の障害用診断書を用いて認定(1級〜3級)を受けます。
- 糖尿病性神経障害: 足のしびれや壊死(えし)などにより歩行困難となった場合、肢体の障害用診断書を使用します。
2. 糖尿病そのものでの認定基準(インスリン注射等)
合併症がない状態でも、必要な治療(インスリン治療など)を行っているにもかかわらず血糖コントロールが極めて困難で、日常生活や労働に著しい制限がある場合は「3級」に該当する枠組みが存在します。
具体的には、「必要なインスリン治療を常時行っていること」に加え、直近の検査数値(HbA1cなど)が一定の基準を満たし、かつ日常生活の制限が認められる必要があります。
3. 申請時に意識すべき「健診日」と「初診日」の違い
糖尿病の申請において最も間違いやすいのが初診日の定義です。よく「健康診断で高血糖を指摘された日」が初診日になると誤解されがちですが、正しくは「健康診断で異常を指摘された後、初めて医療機関(内科など)を受診して医師の診察を受けた日」が正式な初診日となります。
糖尿病は何年も、場合によっては十数年以上かけてゆっくり進行する疾患であるため、当時の最初の病院のカルテが既に破棄されているケースが少なくありません。もし最初の病院のカルテが残っていない場合は、「初めて異常を指摘された健康診断の通知書」に加えて、「初めてその病院を受診した当時の領収書や診察券」などを、当時の受診状況を客観的に補強する証拠書類として年金機構に提出し、審査を仰ぐ形になります。そのため、大昔のものであっても手元に関係書類が残っていないか、事前にしっかりと確認・整理しておくことが必要です。
また、複数の合併症(例えば眼と腎臓の両方)が同時に進行している場合は、それぞれの医師に別々の診断書を書いてもらい、複数の障害を併合して申請(併合認定)することで、より高い等級が認められるケースもあります。ご自身の今の体調や日常生活の不便さを漏れなく書類に反映させることが申請成功の鍵となります。