肢体の障害では、関節の可動域や筋力だけでなく「一人で何ができるか」という日常生活動作(ADL)の評価が等級決定に大きく影響します。
手足や体幹に障害がある「肢体の障害」の審査において、「筋力がどれくらい低下しているか」「関節がどれくらい動くか(可動域)」という身体的な測定データは重要な指標です。
しかし、それらと同等、あるいはそれ以上に審査で重視されるのが**「日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)」**の動作レベルです。数値データの上では軽症に見えても、実際の生活において一人でこなせる動作が限られているならば、その実態に合わせた等級認定を受けるべきだからです。
1. 診断書で問われる「日常生活動作」の項目
肢体の障害用診断書には、以下のような具体的な動作について、「一人で難なくできる」から「他人の助けがなければ全くできない」までの4段階で評価する欄があります。
- 上肢の動作: 「つまむ」「握る」「書く」といった手の動作のほか、スプーンで食事をする、ボタンを留める、顔を洗うなどの基本動作。
- 下肢の動作: 立ち上がる、歩く、片足で立つ、階段を昇り降りするなどの移動動作。
- 体幹・脊柱の動作: 寝返りを打つ、起き上がる、座った姿勢を保つといった基本姿勢の維持。
2. 正確な実態を医師に伝えるためのポイント
診察室の短い時間だけでは、医師は患者の「普段の生活動作」をすべて把握することはできません。そのため、実際の生活実態よりも「動けている」と判断されてしまうことがあります。
特に、**「時間はかかるが、無理をすれば何とかできる」**という状態は、障害年金の審査上では「自律してスムーズにできる」とは評価されません。診察時には、「着替えに通常の3倍以上の時間がかかる」「手すりや壁に掴まらないと靴下が履けない」といった、具体的な「困難さの度合い」を医師に明確に伝える必要があります。
3. 補助具(杖・車椅子など)の使用状況
日常生活において、杖、歩行器、車椅子、装具などの補助具を使用している場合は、その使用頻度や状況をすべて診断書に反映してもらうことが極めて重要です。
「外出時のみ杖を使う」「自宅内でも這って移動している」など、補助具がないと成り立たない動作や、補助具を使用してもなお制限される動作を細かく申立書に記載し、診断書との不整合がないように書類を整えていきましょう。