国民年金保険料の「免除」「納付猶予」「学生納付特例」の手続きをしていた期間は、未納とは異なり、障害年金を受け取るための条件(保険料の納付要件)の計算において「納付した期間」と同じようにカウントされます。ただし、制度の種類によっては一部の保険料を期限までに納めないと未納扱いになってしまうなど、気をつけるべき注意点があります。その具体的な仕組みとルールを分かりやすく解説します。
「経済的な理由や学生だった時期に年金の免除申請を出したが、これは障害年金の審査で『未納』として扱われてしまうのか」という疑問は多く見られます。公的に免除・猶予の承認手続きを行っていた期間は、障害年金の受給資格を判定するうえで、原則として未納とはみなされず、条件を満たす期間として認められます。
1. 条件を満たしていると認められる免除・猶予制度の一覧
以下の制度を利用し、日本年金機構から正式に承認されている期間は、障害年金の納付条件(「これまでの期間の3分の2以上が納付または免除」または「直近1年間に未納がないこと」)の計算において、いずれも未納ではない期間として扱われます。
- 国民年金保険料の申請免除・法定免除: 全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除
- 納付猶予制度: 50歳未満の所得が低い方を対象とした猶予期間(旧・若年者納付猶予制度を含みます)
- 学生納付特例制度: 学校に通っている期間中に収入が一定以下である場合に申請し、承認された期間
一部免除における「減額分の未納」という注意点
全額免除や猶予制度とは異なり、「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」といった一部だけ免除の承認を受けた期間については、重要な例外ルールがあります。
これらは免除の手続きをしただけで安心し、「減額された残りの保険料(4分の1、半額、4分の3)」を期日までに支払っていない場合、その期間は免除期間とは認められず、法律上「未納期間」として処理されてしまいます。一部免除については、安くなった分の保険料を実際に支払っていることが、障害年金を受け取る上で必須となります。
2. 「未納」と「免除・猶予」の決定的な違いと申請のタイミング
経済的な事情で保険料を納めるのが難しい場合、何も手続きを行わずに放置する(未納)か、市役所や年金事務所の窓口で申請を行う(免除・猶予)かによって、障害年金を受け取れるかどうかに決定的な差が生じます。
免除や猶予は、過去に遡って申請すること自体は法律上可能です。しかし、障害年金の手続きにおいては、「免除・猶予の申請書が年金事務所に受け付けられた日」が、その病気やケガの「初診日の前日」よりも前でなければならないという厳格なタイムリミットがあります。
つまり、初めて病院を受診した日(初診日)を過ぎてから慌てて過去の未納分について免除申請を行っても、障害年金の審査では未納扱いのままとなり、救済されません。日頃からの事前の手続きが必要とされるのはこのためです。
3. 法律上、自動的に全額免除の対象となるケース
申請による免除のほかに、国の決まりに基づいて全額免除の対象となる「法定免除」があります。主に以下に当てはまる期間がある場合が対象です。
- 生活保護法による生活扶助を受けているとき
- すでに障害基礎年金、または厚生年金の障害年金(1級・2級)を受け取っているとき
ただし、これらも年金事務所へ届出を提出していない場合、一時的に年金定期便などの記録上では未納状態として表示されてしまうことがあります。
過去に保険料を納められなかった時期があったとしても、その期間が当時の収入基準や学生特例、法定免除の条件に当てはまり、初めて病院に行く前に正しく手続きされていたかを、年金ネットなどの加入記録をもとに細かく確認していくことが、年金を受け取れるか判断するための第一歩となります。