国指定の「難病」でも障害年金は受給できる?申請時の注意点と進め方

医療費助成の対象となる指定難病であっても、その症状によって生活や仕事に著しい支障が出ている場合、障害年金の受給が可能です。複数の症状が絡み合う難病ならではの審査の仕組みと、申請時に直面する制度の壁を解説します。

潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデス(SLE)、パーキンソン病、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、国が指定する難病(指定難病)は多岐にわたります。

難病の医療費受給者証を持っていれば自動的に障害年金ももらえるのかというお問い合わせをよくいただきますが、残念ながら制度上これらは完全に別物です。難病指定を受けている場合であっても、国の定める障害年金用の認定基準を満たしていることを個別に証明しなければなりません。

1. 複数の症状が絡み合う「診断書選び」の複雑さ

障害年金の診断書には、肢体の障害用、呼吸器疾患用、血液・造血器・その他の障害用など、全部で8つの様式が存在します。難病はその性質上、関節の痛みや全身の筋力低下、内臓への負担、免疫機能の低下など、多様な症状が全身に同時に現れることが少なくありません。

そのため、どの様式の診断書を選択すべきかの判断が非常に重要となります。手足の動かしにくさが主症状であれば肢体用、倦怠感や多臓器への影響が主であれば悪性新生物などでも使われるその他用の診断書を選択するなど、最も日常生活に制限を与えている症状に合わせる必要があります。また、複数の重い症状が併発している場合は、2枚以上の異なる様式の診断書を同時に提出し、併合して審査を受けることもあります。

2. 寛解と増悪を繰り返す「病状の不安定さ」という大変さ

多くの難病患者さんを悩ませるのが、症状が比較的落ち着いている寛解期と、急激に悪化する増悪期を不定期に繰り返すという、病状の予測不可能性です。

昨日までなんとか動けていたとしても、翌日には起き上がることすらできなくなるような激しい波は、体調面だけでなく就労や日常生活の維持において多大な負担を強いることになります。しかし、書類上の診察においては、一時的に体調が安定している時期の印象だけで診断書が作成されてしまうケースがあり、日々の激しい体調の変動や、それに伴う労働への著しい支障が十分に書類へ反映されにくいという厳しさがあります。

障害年金で評価されるべきは、最も良い時の状態ではなく、こうした体調の波を含めた平均的な生活実態です。安定した時期のデータに偏ることなく、症状が悪化した際の起き上がれない頻度や、周囲からのサポートが不可欠となる実態を日頃から丁寧に医師へ伝えておくことが必要とされます。

3. 確定診断までに時間がかかる「初診日の証明」という壁

難病の申請において最大の障壁となりやすいのが、初診日の特定と証明です。難病は原因の特定が難しく、初期症状の段階では病名が分からないことが多いため、確定診断が下りるまでに何年もの時間を要し、その間にあちこちの診療科や病院を転々としているケースが一般的です。

障害年金制度における初診日は、難病の確定診断が出た日ではなく、その病気と思われる初期症状で最初に医師の診察を受けた日と定義されています。そのため、何年も前の最初に受診した小さなクリニックなどを探し出し、そこから初診日の証明書(受診状況等証明書)を取り寄せなければなりません。

しかし、最初の受診からあまりに長い年月が経過していると、当時の病院がすでに廃院になっていたり、カルテの保管期間(5年)が過ぎて破棄されていたりして、最初の病院だけでは証明がつかない事態に直面します。治療法が確立されていない難病だからこそ、この過去の受診履歴を遡って証明していく作業は非常に過酷であり、当時の診察券や健康診断の記録、お薬手帳など、手元に残されたあらゆる客観的な手がかりを繋ぎ合わせていくような丁寧な準備が必要となります。